なぜお盆をおこなうの?
お盆の由来
もうすぐお盆ですね
もうすぐお盆ですね。
今回はお盆の由来についてお知らせしたいと思います。
お盆とは「逆さ吊りの苦しみ」
お盆は正式には「盂蘭盆(うらぼん)」と言います。
インドの言葉「ウランバーナ」が語源の言葉です。
ウランバーナとは、「逆さ吊りの苦しみ」という意味です。
今私たちが行っているお盆は、「亡くなった人を追慕して、先祖を敬う行事」ですよね。
すごくギャップがあると思いませんか?
なぜ「逆さ吊りの苦しみ」から「亡くなった人を追慕して、先祖を敬う行事」になったのでしょう。
目連尊者の物語
お盆の物語の主人公は、お釈迦様のお弟子の「目連さん」です
そのお坊様とは、お釈迦様のお弟子さんの一人、目連尊者(もくれんそんじゃ)です。
目連さんは、お釈迦様の弟子の中でも「神通力第一」と言われた人。
今で言うところの超能力者ですね。
ある日、目連さんは、今は亡き母はどこにいるのかしら、何かご供養は出来ないかしらと思い、得意の神通力を使って六道(六道)を捜していました。
六道とは仏教の考えで、生まれ変かわったら行くことになる(輪廻して行く)六つの世界と思って下さい。
予備知識 六道ってなに?
物語の前に、カンタンに六道の説明です
六道とは次の六つの世界です。
・天道は天人(てんにん)のいる世界。天人は人間より優れていますが、まだ煩悩があるとされています。
・人間道は、今私たちのいる世界。悩みの多い世界です。
・修羅道は、ケンカばっかりしている世界。
・畜生道は、牛馬などの動物の世界。食べて寝るなど本能中心の世界。
・餓鬼道は、何か食べようとすると食べ物が炎になってしまう、飢えと渇きの世界。
・地獄道は、「血の池」や「針山」の地獄。
私たち「悩めるもの」はこの六つの世界をグルグル回っています。
そしてこの世界から抜け出すことを、悟りや解脱と言います。
目連さんのお母さんはどこ行った?
目連さんのお母さんはどこにいたでしょうか
まず目連さんは、神通力を使って天道を覗いてみましたが、お母さんはいませんでした。
人間界に生まれ変わったのかと思い人間界を見ましたが、そこにもいません。
修羅道・畜生道にもお母さんは見当たりません。
餓鬼道を見たとき、なんと、お母さんはいました。それもやせ細った姿になって。
目連さんは何も出来ませんでした
目連さんの神通力が効かない世界
目連さんは、得意の神通力を使って、お母さんにご飯を差し上げようとしました。
しかし、お母さんがご飯を手に取ったところ、炎となって燃え上がり、食べることが出来ません。
あらゆる神通力を使ってお母さんにご飯を差し上げても、お母さんが手に取った瞬間に炎となり、灰になってしまうのです。
神通力第一と言われる目連さんの力をもってしても、餓鬼道から救い出すどころか、ご飯をあげることすらも出来ないのです。
目連さんはその時、あまりの悲しさで大声で泣き叫び、悲しみにうちひしがれたそうです。
目連さんにとっても、お母さんにとってもまさに「逆さ吊りの苦しみ」です
お釈迦様の教え
すぐに目連さんはお釈迦様のところへ伺い、一部始終を話しました。
そして、どのようにすればお母さんを救えるかとお聞きになりました。
お釈迦様は「あなたのお母さんは、なぜ餓鬼道にいるのでしょう。
それは、あなた可愛さの余り、他の子供達を追いやるような行いがありました。そのことで今、餓鬼道に落ちているのです」とおっしゃり
「世界中の僧たちの力を合わせれば、あなたのお母さんは救われるでしょう」
「7月15日に雨期の修行を終えた僧たちが集まります。
その時にご飯、おかず、果物、水、香油、燭台、敷物、寝具を用意して、七代先のご先祖様から今のご両親、そして全ての人たちを思い、僧たちに供養をしてください。」
「そうすれば、ご先祖様は解脱することが出来、父母が生きている人は百年の福楽があるでしょう」
逆さ吊りの苦しみから、お母さんは救われました
目連さんはお釈迦様の言われた通りのご供養をしました。
全ての人たちに向けられた追慕と敬いの法要。
終わったときには、一劫(43憶2千万年)という永遠の時間続くはずだった「逆さ吊りの苦しみ」から、お母さんは救われ極楽と行くことが出来ました。
その時の目連さんの喜びようはいかばかりだったでしょう。きっと全てのものに感謝し、飛び上がって喜んだことでしょう。
素直な気持ちで、全てのために
そして思ったのです。
「自分一人の力や考えではどうにもならないことがたくさんある。お釈迦様の教えを素直な気持ちで行い、お母さんだけのためではなく、ご先祖様や全ての人たちのためにご供養をすることで全ての人を、もちろんお母さんも救えたのだ」と。
目連さんは親孝行のお手本です
この優しい心で母親を救ったということが、親孝行の手本として長く言い伝えられ、今のお盆になりました。
今のお盆はこうしてできました
お釈迦様は最後にこういわれました。
「これから毎年7月15日は親孝行の心を持って、両親から七代先のご先祖様までを思い、感謝を込めてその恩にご供養なさい」
このお言葉が、今私たちが行っているお盆の「亡くなった人を追慕して、先祖を敬う行事」になったのす。
今年のお盆は、ご両親とご先祖さまのご供養だけではなく、お釈迦様のお教えの通り「すべての人たちへのご供養」も心に思って、過ごされてみてはいかがですか。